遺言書とは?
自分の財産や権利を自分が亡くなった後に誰に、何を、どのくらい渡すかを生前に決めておき、それを書面に残してあるものをいいます。遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
自筆証書遺言とは?
この遺言書は呼んで字のごとく「自筆」つまり遺言者が自分で書く遺言書です。
したがって代筆はもちろんのことパソコンやワープロを使用して作成することもできません。もし一部でも代筆やパソコンの部分があると無効になるので注意が必要です。
またすべて本人が書いたものでも民法で定めたとおり作成しないと遺言書として認められないこともあります。
民法で定められた用件とは
- 全文自筆で書くこと。
- 必ず作成した年月日の記載と遺言者の署名押印をすること。
- 訂正や変更する場合はその箇所に署名と訂正印をすること。
その他気を付けることは、
- 判読しやすい文字で書くこと。
- 偽造や変造などを防ぐために封筒に入れて押印をしておくこと(押印はなくても無効にはなりません)
- 曖昧な表現は避けること。
- 遺言書の保管は気をつけること。
※但しわかりにくい場所に保管してしまうと遺言書の存在がわからない場合がありますので注意が必要です。尚、遺言書の存在をご家族に教えておく方もおられます。
公正証書遺言とは?
この遺言書は公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。
公正証書遺言は、遺言者が本人であるか確認するための実印と印鑑証明、それと相続人や遺贈者との関係を証明する戸籍謄本などを用意し、証人2名と一緒に公証役場に行って公証人に遺言の内容を書面ないし口述し、作成されるものです。
また病気などで公証役場まで出向くことができない場合は、公証人が自宅や病院などへ出張してもらい作成することも可能です。
作成された公正証書遺言は原本と正本が作成され、原本は遺言者が130歳になるまで公証役場で保管されるため紛失や偽造の心配がありません。また原本と同様の効力がある正本は遺言者に渡されます。渡された正本を万が一紛失してしまった場合でも再交付が受けられます。
公正証書遺言は検認手続きの必要がないため、相続が開始されたら相続人がその場で開封することができ、遺言の執行も迅速にすすめることが可能です。
秘密証書遺言とは?
この遺言書は遺言の内容は秘密にしたまま遺言書の存在だけを証明してもらう遺言者です。
まず遺言を自分で作成します。できれば直筆が良いですが、パソコンを使用したり代筆してもらったりしても構いません。遺言書を作成したら押印し、封筒入れて同じ印鑑で封印します。そして証人2人以上連れて公証役場に行き、封書を提出し公証人および証人の前で住所氏名そして自己の遺言書であることを申述します。公証人は提出された封筒に提出日を記載してくれます。最後に遺言者と証人が封筒に署名押印し終了となります。作成された遺言書は遺言者が持ち帰り自身で保管することになります。
公正証書遺言の存在の検索方法
公正証書遺言については、平成元年1月以降に作成されたものに限り「遺言登録システム」により、その存在の有無、照会を行うことができます。申請人となるのは、相続人や遺言執行人等の利害関係者及びそれらの代理人となります。尚、遺言者の存命中は遺言書作成者本人でないと申請はできません。