相続人の確定 戸籍を調べる
相続において、相続人を確定するというのは何よりも大切なことです。もし、しっかりと相続人を確定せずに各手続きを進めてしまえば、後から誰も把握していなかった本当の相続人が出てきて、すべての手続きは無効、やり直さざるを得なくなってしまうのです。
こうした事情があるため、不動産や預貯金の名義変更といった相続に関する手続きは、戸籍謄本の提出によって相続人を確定させてからでないと、取ることができない手続きとなっています。
そもそも戸籍とは?
では、そもそも戸籍とはどういうものなのでしょう?
戸籍とは、簡単に言えば日本国籍を持っていることを証するために必要な公文書のことです。日本では、子どもが出生すると両親は必ず出生届を出さなければなりません。そして、この出生届が市区町村役場に受理されてはじめて、その子は親の戸籍に名前が載ることになります。
なお、1度でも戸籍に記載がされると、国籍を変更するか行方不明にでもならない限り(この場合でも除籍謄本として残ります)、戸籍はずっと残り、婚姻や離婚による本籍地の変更、養子縁組といった身分に関することまで、自分の戸籍に記録され続けることになっているのです。
相続人の確定に戸籍調査が必須な理由
相続人の確定に戸籍調査が必須な理由としては、戸籍には上記のような事情に加え、兄弟姉妹や自分の子といった者の名前まで記載されているのです。これによって、被相続人の父と母は誰なのか、兄弟姉妹は何人いるのか、その後、誰と結婚し、何人の子どもを産んだのか、その子どもは誰と結婚し、どこの戸籍に入ったか、といったことまでがわかるようになっています。つまり、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せることによって、いったい誰が相続人なのか?といった疑問がすべて解決するというわけです。
戸籍調査に困ったら専門家に依頼を
とはいえ、戸籍調査といっても一般的にはそう簡単にできることではありません。あまり本籍地を変更していないようであれば、そこまで大変ではありませんが、本籍地が遠方にあったり、結婚や離婚などによって何度も本籍地の変更があったりとなれば、すべての戸籍を集めるためには何ヵ所にも申請をしなければなりません。また、戸籍といっても、戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍といったようにいくつか種類があり、また正しい見方も知っている必要があります。その都度、勉強をしていても大変なので、あまり負担になるような場合は、専門家に依頼してしまいましょう。
専門家であれば、職権にてすべての戸籍謄本を取り寄せることが可能となっています。また、調査完了までの期間も非常に迅速で、数週間で完了してしまうこともあります。どうしても困ったときは専門家に依頼をし、時間と手間を節約することをおすすめします。