良くある質問 Q&A 相続で解らないことは弁護士に相談

遺産相続相談解決センター

相続に関する よくある質問 Q&A

相続は人の死亡により始まります。しかし人が亡くなってまず始めにやらなければならないのが葬儀です。人が亡くなった時葬儀を行うことは誰でも知っており、火葬や埋葬をすることも承知していることでしょう。しかし知っていたとしても葬儀をすべて家族や遺族だけで執り行うケースは珍しく、ほとんどの方がすぐに葬儀屋に依頼していると思います。

 

それは葬儀をすることはわかっていても、実際は何が必要で、また順序や法律などわからないことが多いからです。またご家族が亡くなり悲しみに暮れている中、葬儀に関わる色々な手続きや手配などできないからです。例えば火葬や埋葬をするにも埋葬許可書が必要であり、それには役所への届出が必要です。葬儀屋である専門家に依頼すれば、そのような手続きはすべて専門家がやってくれます。

 

一方でもう一つ手続きしなければならないのが相続です。相続は人が亡くなったときに開始となりますが、すぐに相続の話をするのは不謹慎と思われたりすることからなかなか話が切り出せず、時間ばかり過ぎてしまうことがあります。確かに相続の話を始めるのはなかなかタイミングが難しいかもしれません。

 

しかし相続手続きの中でも期限が決まっているものもあり、期限が過ぎてしまったことで取り返しの付かないケースもあります。それと死亡と同時に銀行や郵便局の口座の取引を停止しておかないと、後で争いの種になることも少なくありません。

 

相続は一般的に亡くなった人の財産を配偶者である夫や妻、そして子供が引き継ぐことが多く、家族だからいつでも話ができ直ぐにまとまると思われがちですが、逆に家族だから感情的になり、争いが大きくなることの方が多いかもしれません。

 

弁護士に相談したり依頼したりすることは、争いがあるからと思われがちですが、専門家である弁護士に相談や依頼をすることは、争わないためにするという考え方もあります。

 

実際にどのような相談があるのか、いくつか例をあげてみましょう。

 

相続には受け取る割合が定められているようですが、必ずその割合で分配しなければいけないのですか?
確かに民法では相続の順位と割合が定めてあります。順位については誰が相続人かを示すもので、勝手に相続人を決めることはできません。しかし割合に関しては必ずしもその割合で相続する必要はなく、相続人間の話し合いで決めればよいのです。ただし話し合いでまとまらない場合は、相続割合を基本に分配することになります。ここで相続の順位と割合を図にしました。

話し合いによって分配方法が決まったら協議書を作成しなければなりません。これを遺産分割協議書といいます。この協議書を作成しなければ実際に財産を受け取る手続きができません。なぜなら協議書は預金をおろしたり不動産の登記を変更したりするのに必要だからです。その他にも戸籍謄本や印鑑証明書などが必要書類となります。
協議書の作成やその後の手続きなど弁護士に依頼するのが良いでしょう。
 ただし、以上の説明は遺言書がない場合の話であり、遺言者がある場合には違ってきますのでご注意ください。

相続人の一人に被相続人が生前に財産の一部を贈与しているケース。

被相続人が生前に相続人に贈与した財産を相続財産に加算することができる条件は、①相続開始前の1年間に贈与された財産。②それ以前であっても贈与者と贈与を受けた双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した財産。③特別受益による生前贈与。となります。特別受益とは相続人が被相続人から特別な利益を受けていたものをいいます。特別な利益とは、事業を始めるときの開業資金や家を建てるために出してもらった資金、私立の医学部への多額な入学資金や留学資金などがこれに該当しますが、単に生活費の援助を受けていただけでは特別受益に該当しません。つまり特別受益とは相続分の前渡しを受けていたものと解釈すればよいでしょう。計算方法は相続財産に贈与や特別受益の分を加算し、それを相続割合で分けることになります。贈与を受けた人は受け取る財産からすでに受領している贈与分を差し引くことになります。もしも特別受益額が相続分よりも多い場合は相続分を受け取ることが出来ませんが、超過分を返す必要はありません。

 

相続を相続人の一人が取り仕切っているが、不透明な部分が多く信用できない。

相続にあたっては相続人の誰かが先頭に立って取り仕切る方がまとまりやすくスムーズにいく場合もあります。しかしそれは信頼関係があってこそのことです。しかし信頼関係があっても相続ではそれぞれの思いや考えがぶつかり、結果まとまらないばかりか信頼関係までも損なうこともあります。そこで争いがあるからではなく争わないためにも弁護士に相談しながら進めるか、預金の凍結、財産の調査、相続の分配方法、それに伴う協議書の作成などのすべてを弁護士に依頼した方がスムーズにいく事が多いかもしれません。

 

被相続人の病気を看病していたので他の相続人より多く遺産をもらいたい。

これは寄与分の請求ということです。寄与分とは、相続人の中に被相続人の財産の維持や増加に特別な働きをした者に、その働きの評価額を相続財産から寄与することです。計算方法としては相続財産から寄与分を控除したものを相続財産とみなして相続を行い、寄与者はその控除分を取得することになります。どのようなことが特別な働き、言わば寄与となるかというと、①被相続人の事業を手伝ったことで財産を増やしたり維持することができた。②被相続人に対し金員を給付するなど援助をした。③被相続人の療養看護および生活費の給付をしたことにより被相続人の財産を維持することができた。などがあげられます。
この寄与の金銭的評価額は相続人間で協議し決定することになりますが、寄与の存在や評価など話し合いがつかない場合は家庭裁判所に審判を求めることができます。

 

遺品を整理していたら遺言書を見つけた場合

このような場合公正証書遺言を除き勝手に開封してはいけません。自筆証書遺言、秘密証書遺言の開封には家庭裁判所において相続人または代理人の立会いの下開封しなければなりません。これが検認手続きです。裁判所の検認を受けると検認調書が作成され検認に立ち会えなかった相続人には検認されたことが通知されます。
検認手続きは遺言書の存在と遺言書の内容を相続人に知らせることと、遺言書の偽造を防止するのが目的です。よって遺言書の内容について有効無効を判断するものではありません。
尚、公正証書遺言の場合は偽造や変造の恐れがないため検認手続きは必要ありません。

 

遺言書に自分の名前が書かれていなかった場合は?

遺言書に自分の名前が書かれていない場合で自分が相続人である場合は、遺留分といって法律で定められた範囲の財産を受け取る権利があります。
遺留分は法定相続分の1/2となります。ただし相続人が兄弟姉妹の場合には遺留分はありません。また遺留分の請求には時効があるので気をつけなければなりません。

 

被相続人に借金があった場合はどうすれば良いの?

被相続人に借金があった場合は、亡くなられてから3ヶ月もしくは借金があったことを知ってから3ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄手続きをすれば支払義務は生じません。
しかし相続放棄をすることですべての財産を受け取ることが出来なくなります。
相続が開始され、預貯金や不動産などプラスになる財産だけであれば問題なく相続し、逆に借金などのマイナスになる財産だけであれば相続放棄手続きをすれば良いでしょう。しかしプラスとマイナスがありすぐに判断できない場合があります。そのような時は被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄手続きの期間延長の申立を行い、その間に相続するか放棄するかの判断をすることができます。またそれでも被相続人の債務がどの程度あるか不明で判断ができない場合は、限定承認手続きといってプラスの財産の分を限度として債務の負担を受け継ぐという手続きがあります。
期限内に相続放棄手続きまたは限定承認手続きなどを行なわない場合は、単純承認といって無条件ですべての財産を引き継ぐことになります。

 

私の父は健在なのですが、父は多額の借金があるようなので、父が亡くなっても相続したくありません。今相続放棄することはできますか?

相続放棄は相続が開始されてからでなければ手続きをすることはできません。この場合はお父様が亡くなられてから3ヶ月以内にお父様の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申立を行うことになります。しかしもしもお父様に不動産などのプラスの財産があった場合は、その不動産も放棄することになります。お父様の借金の額や現時点の収入や生活状況にもよりますが、ご健在のうちに弁護士に依頼して債務整理などで借金をなくしておくことをお勧めします。ただし借金を返しきれないことがわかっていて不動産を贈与することは詐害行為に該当する恐れがありますので気をつけなければなりません。

 

父がなくなりました。父は自宅以外に不動産があるといっていたのですが、その不動産の権利証が見当たりません。また所在もわかりません。どうしたらよいですか?

被相続人の不動産を調査するには「権利証」や「登記識別情報」があればよいのですが、それらが見当たらない場合は「固定資産税の納付書」も探してみてください。納付書が見つかれば市役所で被相続人が所有していた不動産がわかります。もしもそれらすべてが存在しない場合でも死亡届を出すことにより、固定資産税の請求先が相続人になり、いずれその請求書が相続人宛に届きます。ただし固定資産税の請求は滞納がない限り1年に1回となっているため、時期を待たなければなりません。そこでどうしても急がなければならない時は、お父様のこれまでの住所地はもちろんのこと、よく出かけていた場所などを思い出して、その地区を管轄する市町村役場に固定資産税納付の有無を調べてもらう方法もあります。ただしすべての市町村役場が対応してもらえるとは言えず、その場合はやはり請求を待たなければなりません。不動産の名義人や抵当権などはご自分で調べることも可能ですが、やはり専門家である弁護士や司法書士に依頼するのが良いでしょう。弁護士や司法書士は「登記情報提供サービス」というインターネットで調べられるシステムを導入しているところも多いはずです。

 

預貯金や口座の存在を調べる方法はありますか?

預貯金の調査は被相続人の預金通帳があれば可能です。また通帳がなくてもキャッシュカードやATMの明細書など金融機関がわかれば「預金残高証明書」を発行してもらえます。ただしそれらの書類がなく口座の有無を確認するには被相続人の住所地はもちろんのこと、これまでの居住地の近くにある金融機関名を調べ、口座の有無を確認する方法があります。相続人であれば被相続人との関係を証明する戸籍謄本や身分証明書などがあれば確認もできますが、弁護士に依頼して調査してもらうことが良いでしょう。

 

亡くなった父にどうやら借金があったようで、でも詳細がわかりません。どうしたらよいですか?

お父さんに借金があることが判明し、プラスとなる預貯金や不動産などの財産が存在しない場合は、3ヶ月以内に「相続放棄手続」をすることで相続人が支払う義務がなくなります。一方で借金もあるが不動産や預貯金もあるような場合は「相続放棄手続」をしてしまうと借金の支払はなくなりますがプラスの財産も放棄してしまうことになります。そこでまず借金の調査をする必要があります。先ずはお父さんの通帳の引き落としや振込みを確認し、それと持ち物や部屋などにカードや請求書、契約書やメモなどがないか確認します。加えて「信用情報機関」から信用情報の詳細を取り寄せます。信用情報には現在の借入先や5年前までに完済したところなどの情報が載っているので、そこに記載されている債権者に対し取引の明細や残高などを照会します。また亡くなったことで返済が遅滞することにより、貸金業者から督促の電話や手紙がくることもあります。このようにしておおよその借金は判明しますが、個人からの借り入れや連帯保証人になっていた場合はその時点ではわからない場合もあります。しかも「相続放棄手続」は3ヶ月以内となっていて時間の問題もあります。そこでこのような場合は、この3ヶ月の熟慮期間の伸長を申立てることも必要ですが、「限定承認手続」といってプラスの相続財産の範囲までしか借金の支払義務を負わないことにする手続きもあります。

 

父がなくなり母と私と兄が相続人となりました。父には家や預金の遺産があり、生前自分が死んだら遺産は母に相続させると言っていたので、私としてはそのようにしたいと考え遺産分割協議書を作成したいのですが、兄は数年前から音信不通で何処にいるのかもわからず生きているのか死んでいるのかさえわかりません。どうすれば遺産分割協議ができますか?

このようなケースは珍しいことではありません。たとえ親子や兄弟であっても交流もなく連絡を取ることもなくなり、そのうち引越しや転職などで居場所がわからなくなってしまうようです。もしも相続人の誰かが音信不通で協議ができなくても、法的には法定相続割合での分配であればその割合分だけは受け取ったり登記したりすることは可能ですが、遺言書もなく法定割合でない分配をする場合はやはり分割協議書が必要で、それには相続人の一人であるお兄さんがいなければ作成できず遺産を分配することはできません。このような場合は方法としては三つ考えられ、まず①お兄さんの住民票を取り寄せ移転先を探すことです。また知人や以前勤めていた会社の同僚に連絡先などを聞いてみることも必要です。ほとんどのケースではお兄さんに連絡をつけることができるでしょう。②は①でも連絡が取れず、お兄さんが生死不明になってから7年以上経過していれば、家庭裁判所に失踪宣告の審判の申立を行い、容認されれば期間満了日に死亡したとみなされ、被相続人の死亡日と期間満了日との後先によっては数次相続(これは、父と兄の2回の相続が行われることを意味します)となりますが、結果それにより他の相続人で遺産分割協議書を作成することができます。③はお兄さんの生死不明が7年未満であったり、失踪宣告の審判を受けるのは避けたかったりした場合は、家庭裁判所にお兄さんの不在者財産管理人の選任の申立を行い、選任されればその不在者財産管理人がお兄さんの財産の管理や保存などを行い、家庭裁判所の権限外行為の許可を得た上で、お兄さんに代わって遺産の分割協議を行うことができます。裁判所では職権で雇用保険などの社会保険の加入経緯を照会し、不明者の存在を確認する場合もあるようです。

 

遺産の中に不動産があり、その相続について相続人間で何度も話し合いをしていますが、それぞれ勝手なことばかり言っていてまとまりません。このような場合どうすればよいですか?

現金であれば分割することは簡単ですが、不動産となるとそれぞれの考え方がありまとまらないことも多いようです。それは現金と違い簡単に分割することができないからです。もちろん登記名義上それぞれの相続分を持分として登記することは可能ですが、その不動産に今後居住したり管理したりする人にとっては、すべて自分名義にしておきたいと思うでしょう。一方で居住しない人にとっては自分の持分をいわば貸すことになり、それなら家賃や地代を貰いたいと思う人や売却してお金に換えたいと考える人もいるでしょう。そのような場合は遺産分割の方法として「換価分割」または「代償分割」という方法があります。換価分割とは、その不動産を売却して売却代金の分配をもって分割する方法です。また代償分割とは特定の相続人が不動産を取得する代わりに、他の相続人に対しその代償として金銭の支払をする方法です。

 

先日夫が亡くなりました。夫とは籍は入っていませんが30年以上夫婦として一緒に暮らしてきました。夫には昔離婚した妻との間にできた子供がいて、その子供から婚姻の届けが出ていない以上内縁関係であり、相続人でない以上財産を渡す必要はないと言ってきました。私は夫の財産を一切貰うことはできないのでしょうか?

婚姻の届けが出ていない内縁関係の場合は、法律上夫婦とは認められません。したがって残念ながら内縁配偶者には相続権はありません。ただしその遺産が被相続人と内縁配偶者が共同して築いた実質的共有財産であると認められた場合は、内縁配偶者の共有持分権として財産を受け取れる可能性があります。しかし承認を得るには実質的共有財産であることを証明しなればならず、それは法律上の夫婦とは違い長年一緒に暮らしていたことは理由になりません。共有財産と認められる可能性があるのは、共同して家業を営んでいて、その収益で共同生活の経済的基礎を構成する財産が作られたと認められる場合や、夫婦共働きで双方の収入を生活費として充てた上、その余りを夫名義の預金にしていたことが立証できる場合などです。しかも相続人との間で話し合いができれば良いですが、それが難しい場合は家庭裁判所に一般調停を申し立てるか訴訟を起こさなければなりません。
一方で、内縁関係でもすべて夫婦として認められないわけではありません。婚姻届けは出ていなくても長年夫婦として協力して生活してきた点は内縁関係でも婚姻関係と異なるもではなく、準婚姻関係として遺族年金や遺族補償などの社会保障に関しては、法律上の配偶者と同等の保護が受けられます。


先日母が亡くなりました。父はすでに他界していて相続人は私と兄の二人です。母にはこれといった財産はなく、兄が受取人となっている5000万円の生命保険があるだけです。私はその半分を受け取れますか?

生命保険の死亡保険金受取人がお兄様になっている以上、それは受取人固有の財産となります。したがって相続財産と異なりあなたは受け取ることが出来ません。ただし保険金受取人の相続人と他の相続人との間に生ずる不公平が到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合には、その死亡保険金は特別受益として持戻しの対象となることもあるようです。尚、特別受益として認められたとしても、その額がどこまで対象になるかについては諸説あるようです。