相続人であるはずなのに無視されているときは?
自分も同じ相続人の1人であるにも関わらず、他の相続人に無視され、遺産分割協議に参加させてすらもらえない場合、または、強制的に遺産分割協議を終了させられ、法定相続分以下しか相続させてもらえなかった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
こういった場合、このまま黙っている必要はありません。相続人には相続回復請求権という権利がありますので、この権利が侵されたとして回復を求めることが可能となっています。
相続とは包括的な承継である
そもそも相続というのは、相続財産の包括的な承継を意味しています。包括的な承継というのは、簡単にいえば一切の権利・義務を受け継ぐということです。これはすべての相続人にあるため、1人だけ遺産分割協議に参加できないなんてことがあってはなりません。よって、相続回復請求権についても包括的に回復を求めることになります。つまり、すでに個々に分割された相続財産だけにとどまらず、相続人としての地位自体を回復請求するという意味合いがあります。
この請求権を行使する意思表示をしたにも関わらず、相手にしてもらえない場合は、裁判所での手続きを視野に入れることになります。
どちらにしても名義変更はできない
とはいえ、どちらにしても不動産の登記申請や預金通帳の解約といった手続きは、遺産分割協議書やすべての相続人の印鑑証明書が必要になりますので、簡単に名義変更がされることはありません。こういった手続きには被相続人や相続人の戸籍謄本を提出することになっており、そこで相続人の範囲がしっかりと確認されることになりますので、1人でも印鑑証明書が提出されていないとなれば、名義変更の手続きが受け付けられてしまうことはありません。よって、現実に相続人の誰かを無視して遺産分割協議をすることは不可能となっています。
相続回復請求権の相談は弁護士へ
しかしながら、現実に相続回復請求権を行使するといっても、相手にしてくれない相続人に対してしなければならないため、困難といわざるを得ません。そういった場合は、自分の力だけで行うのではなく、ぜひ当事務所にお手伝いをさせていただければと思います。
弁護士であれば、相手にしてくれない相続人に対して、弁護士名義で通知を出すことが可能となっています。弁護士が出てきたとなれば、無視しているわけにはいかないと感じるのが普通です。つまり、通知だけでもかなりの効果が見込めます。また、話し合いで解決しないようであれば、当然ながら裁判手続きへの移行も可能となっています。